AIミュージシャンはオンラインライブの夢をみるか


ブレードランナーの原作になぞらえてタイトルをつけてみました。昨今、目覚ましい機械学習の成果=AI、人工知能によって絵に限らず世界は今大変な変動期に差し掛かっています。これは対岸の火事ではなく、いずれ確実に音楽にも訪れるでしょう。

そして、この問題に直面したミュージックシャンはどう戦っていけばいいのでしょうか。
今回はそんなことを考えてみたいと思います。

順応できるものが生き残る世界

It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is most adaptable to change.

Charles Robert Darwin

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である。」by チャールズ・ダーウィン

進化論の提唱者として有名なダーウィンの格言にあるように、これが真理だと思います。
変化に対して否定的だったり、現状維持に意地を張りすぎていたりすると確実に生き残れないでしょう。
テクノロジーの進化を止めることはできないですし、自国の法規制で保護されたところで、他国で抜きんでたものが出れば、その法規制が足かせとなり自国の競争力を失うだけです。
ではどう変化すれば生き残れるのでしょうか?

それは恐らく、音楽を作る意味が重要になってくると思います。

作曲のコモディティー化

音楽を作るという、誰もができることではなかったことが、誰でもできるようになるわけです。
アイデアさえあれば、誰でも簡単に音楽を生成できるようになる世界。

そうなると、まずはじめに曲を作るアイデアに価値が見出されるとのではないかと思います。
例えば、以下のツイートのようなもの。

ツイートはチャゲ&飛鳥の曲をガバといわれるハードコアテクノの一種のテイストにして、しかも曲の一分間の拍数を50で作って欲しいという意味です。
とてもユニークでおもしろい発想です。控えめに言って大好きです。

私にはこうした閃きを持続して繰り出す自信はないですし、ひとたびバズれば同様のコンセプトはすぐに真似られて飽和します。
閃きに自信のある人は、やったもん勝ちの陣取り合戦に頑張って参加して、先駆者になるのは一つの手かもしれません。

もうすぐそこまで来ている

Mubert-Text-to-Music

上記はMubertというアメリカデラウェア州にある企業が公開した、Mubert-Text-to-Musicという文章から音楽を生成するプログラムです。
簡単な文章と長さなどのいくつかのパラメータを指定してあげると音楽を生成できます。
このデモを見る限りでは、DALL-E2, Stable Diffusion, Midjourneyなどの文章から画像を生成する人工知能と同様のレベルまで来ているように思います。
また、人口知能が作成した画像や音楽に著作権はあるのか?という疑問が湧いてきますが、著作権についても弁護士の方が書かれたこういった解説があるので頭の片隅に入れておくと良いと思います。

意味とは何か?

このような状況になってくると、前述のやったもん勝ちの陣取り合戦になることは必至。
音楽は誰にでもいとも簡単に作れる状況下では、差別化が生まれ、音楽を作る以外の場所に戦いの軸が移っていきます。
差別化の過程で、AI音楽と融合するものも出てくると思いますが、それらも点でしかないので、情緒、ロマンやストーリーなどの人の感情や心に訴えかけるもの、すなわち意味が重要になると思います。

  • 例えば
    • 世界に数台しかなとても貴重なシンセで作られているとか
    • 親の介護の合間の息抜きに作られた自分の境遇を鼓舞する曲とか
    • 曲ができあがるまでの過程がとてもユニークで面白いとか

そういったことです。

棲み分けの先に

さしあたり、ミュージシャンはこう言った意味を武器に戦い、便利になったAI生成の音楽は番組のBGMなどで棲み分けが起こるのではないかと思います。
AIに任せても問題がない用途と、純粋に音楽を楽しみたいときに聴く人間が作る情緒あふれる音楽に。
もっと技術が進めば空間を察知して的確な音楽をながしたり、リアルタイムに生成しながら展開が作れたりしそうな気がします。

おまけ

この記事のアイキャチ画像はMidjourneyに「A future where AI dominates humans」と入力して作られた画像です。
試しにこの記事のタイトル「Do AI musicians dream of online live performances?」も入力したところ以下の画像が作られました笑


Who is writing?

エレクトロニックミュージックのウィークエンドミュージシャン。音楽レーベルCODONA主宰。W2X名義でChiptuneも作ります。 生業は300万会員の写真を扱うベンチャーの事業成長が任務。 興味は音楽、映像、バイオ、マーケ、ゲーム、金融。フォローお気軽に!ご依頼などはサイトの「相談する」からご連絡ください。
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