全米レコード協会(RIAA)のレポートとSpotify上場にみるクラブミュージックの生存戦略


以前、このブログの「ミュージシャンが知っておくべき3つの事実 2017年版」という記事で、レコード業界団体IFPIのレポートを解説したうえで、今後ミュージシャンが取りうる戦略について書きました。

そして、先月の終わり頃に全米レコード協会(RIAA)から、2017年を総括するレポート(以下のツイートを参照)が発表されました。
今回、このレポートや先日ニューヨーク証券取引所に上場したSpotifyの情報などを元に、クラブミュージックの生存戦略について考えてみたいと思います。

ダウンロードが減ってストリーミングが3%増

Source : RIAA
左:2017年9月 右:2018年3月

今回のレポート(2018年3月)は、前回のRIAAの中間報告(2017年9月)のデータよりも、おおよそ半年間でストリーミングの割合が3%も増加しています。またデジタルダウンロードが4%減と、かなり顕著に減少しています。

また、マネックス証券のSpotify上場に関する解説によれば、2014年くらいまで音楽市場は縮小の一途だったが、2015年を境に再び拡大に転じていて、この拡大はストリーミングの貢献度が大きいと書かれています。

これの意味するところは、今後さらにストリーミングが伸びてダウンロードが減るということです。物理メディアが若干増えていますが、ダウンロードに関しては、ちょうどAppleがダウンロード販売をやめるという噂もありますし、ここから大きく伸びていくストーリーは描きにくいでしょう。

ストリーミング全盛になって変わったこと

WSJのストリーミングが生む「音楽に溺れる」時代という記事に以下のような記載があります。

レコードレーベルはつい最近まで「レス・イズ・モア(少ない方が望ましい)」だと考え、アルバムの売り上げを伸ばそうと作品リリースの間隔を十分に確保していた。CDの時代は生産や配給にもコストがかかったため、利益をあげるためにアルバムの売り上げを伸ばすことが重視されていたからだ。だがストリーミングの場合はこれらコストがそこまで高くないため、レーベルはより多くの音楽を所有し、リリースし、再リリースするインセンティブが生じた。
(太字は筆者)

これは恐らく、インターネット上でファンなどからたくさんのアテンションを獲得すること、そしてたくさんの曲を作ることで面を広げる効果が狙えるからだと推測します。

しかし、数を作ろうとすると、どうしても質が下がりがちになります。この現象を長期でみた場合に、心に残る名曲を作ったアーティストと、質を犠牲にして曲を量産したアーティストのどちらが大きな成功を得ることになるのでしょうか。また、アテンションを獲得するという意味では、必ずしも曲のリリースが必要というわけではないと思います。

今後、音楽サービスの仕組みが充実するなかで、再生された曲に関連する曲・似たような曲として自分の曲を紹介してもらえるように、その仕組みにあわせた曲作りが、面を広げるという意味で大事になってくるかもしれません。

この先生きのこるにはどうすればいいのか?

以前、このブログの「ミュージシャンが知っておくべき3つの事実 2017年版」という記事で書いた戦略はまだ有効だと思います。そして、それにプラスして以下も取り入れてみるのはどうでしょうか?

1. 曲を短くする
クラブミュージックにおいては、DJがmixしやすいように長めに作られています。ストリーミングで聴いてもらうには盛り上がるまでの前置きが長いと聴いてもらえない可能性があるので、DJ用に作っていた人は Radio Edit など要約版を別途用意する方が良いでしょう。短く作って Extended Mixを作るでも良いかもしれません。また、最近だとCDJでもループは組みやすいですし、PCDJにおいてはかなり自由度が高いと思うので、短いままでも問題がないのかもしれません。
2. 曲のリリース以外でアテンションをとる
質の低下は、結果としてその音楽の衰退につながると考えています。アテンションを目的とした曲の量産を避け、それ以外の方法でアテンションをとることを考えた方がいいと思います。
例えば、制作途中の曲やその過程をインターネット上に公開して興味を持ってもらうなどの方法はあると思います。
3. 自分の作風の中でできる限り色々なバリエーションに挑戦する
自分が作れる無理のない範囲で色々なバリエーションの曲がある方が、先ほどの面を広げるという意味で知ってもらえる可能性や聴いてもらえる可能性は高くなると思います。自分が大好きなアーティストの曲の関連に表示されるにはどうすればいいのか、研究するのも面白いかもしれません。
4. プラットフォームに依存していることを忘れない
一つの音楽サービスにあまりに依存していると、この浮き沈みが激しい現代では、その煽りを受けて苦しい思いをする可能性があると思います。例えば、あなたの作品が音楽サービスの仕様変更で、関連する曲としてまったく取り上げられなくなったとしたらどうでしょう?そういうことがあっても大丈夫なように、普段から対策を考えておく必要があるでしょう。

さて、今回はいかがだったでしょうか?私が運営するレーベルのCODONAでは、これらの内容を実践するべく、一緒に歩んでくれる仲間を募集しています。こちらよりデモ音源を添えてご応募ください。
また、楽曲制作依頼や自分の曲を知ってもらいたいけど「どうしたら良いかわからない!」などのお悩みはコチラよりお気軽にご相談ください。
お待ちしています。


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