前回の記事「音楽家が知っておくべき3つの事実 2017年版」では、曲を動画にしてYouTubeへ公開する方法が良いのではないかと書きました。しかし、いきなりYouTubeへ動画を公開しても、誰にも見つけてもらえずほとんど視聴してもらえない可能性があります。それは何故か?その理由の一つに、以下の私が引用した記事のツイートにヒントが隠されています。
“漫画は「面白い」と「売れる」の違いが分かりやすくて、ネットで読むような作品は情報量が少ないほうがウケるんですが、コミックは情報量が多いほうが売れる傾向にある”https://t.co/S9yeV6TBNr
— ℳ솮♡η™ (@MUTRON) October 1, 2017
TSUTAYA 三軒茶屋店の仕掛け番長こと栗俣力也氏によれば、ネットで読むような作品は情報量が少ないほうがウケると書かれています。これは私も同感で、漫画に限らず、昨今ネットで消費されるコンテンツは情報量が少ない方がウケが良く、メディア(公開する媒体)の特性に合わせて適切な情報量にする必要があると感じています。このような要因の一つに、スマートフォン中心の生活へ移り変わってきたことにより、少ない情報量の方がちょっとした空き時間に消費しやすい傾向に変わってきたことがあると思います。
適切な情報量に編集する
書店がポップを作成して、来店客に本を手に取ってもらえるように、映画を観に来た人に、本編の前に予告編を流して興味を持ってもらい、再度映画館へ足を運んでもらえるようにと、みんな様々な工夫をしています。
音楽も同様に、ただ公開するだけでは誰にも見つけてもらえません。Facebook、TwitterやInstagramなど、様々な場所へ自らおもむき、そのメディアに合った適切な情報量の動画などのコンテンツを使って、本来視聴してもらいたい場所まで導く工夫が必要だと思います。昔で言うところの、Radio Edit※がそれに近いものだと思います。
※ラジオ放送用に原曲を短く編集したもの。
聴いてもらえない落とし穴
こんな面白いデータもあります。ソーシャルメディア分析ツールを提供するLocowiseの調査によれば、2017年の第1四半期にFacebookに公開された動画の平均時間は3分48秒で、視聴された平均時間はわずか10秒というデータを公表しています。タイムライン型でユーザーに動画を自動再生して見せるタイプのアプリやWEBサービスへ動画を公開する場合は、できるだけ動画の先頭で興味関心を持ってもらえるようにする必要があることがわかります。
また、実際にタップをして音を出して視聴してもらえる割合はわずか7%という厳しい数字が示されています。これは折角丁寧に編集しても、動画の音楽を聴いてもらえる可能性が低いということです。音声が無くても目的の場所へ来てもらえるような工夫が動画に必要です。もしくは、非常に判断が難しいですが、これらに合わせて動画編集するコストを考えると、文章と写真だけで伝えるといった、何か動画編集よりもコストが低い手段を考えるべきなのかもしれません。
視聴してもらうにはどうすればいいのか?
以上のことを加味したうえで、自分が作った動画を見つけてもらい視聴してもらうためには、以下の方法が良いと考えます。これができて初めて多くの人へ届ける必要条件が揃うのだと思います。
- 1. 本来視聴してもらいたい場所をどこにするか決める
- 色々な環境で視聴されることを想定して、できるだけ多くの人がたどり着ける場所を選ぶ。前述の通り、その場所としてYouTubeはなかなか良い場所だと思います。
- 2. そこへたどり着いてもらうための導線設計をする
- 聴いてもらえる・見てもらえる可能性のある場所をリストアップして、そこから本来視聴してもらいたい場所への流れを考えます。この時、流れにくい場所は除外しても良いかもしれません。
- 3. 各メディアに適切な情報量へ噛み砕いた編集をする
- 本来視聴してもらいたい場所への流れができたら、流れる先の各メディアの特性を分析して、そのメディアにあった情報量に編集します。動画にする場合は興味関心を得やすい冒頭10秒くらいが勝負になると思います。
- 4. 本来聴いてもらいたい場所へと導く仕掛けをそこかしこへとする
- 2.の導線設計にしたがって、3.で適切な情報量に編集されたコンテンツを適宜公開します。興味を持ってくれそうな友だちに、直接伝える方法も良いかもしれません。