15年前に作られた曲をデジタル配信で再リリースした話


15年と1ヶ月前にアナログレコードでリリースした曲を、デジタル配信でリリースしました(October 27, 2019)。
これでぼくがデビューからお世話になったレーベル Dekathlon からリリースは全てデジタル配信に対応しました。

上記は15秒という超短い紹介用の音源です。この記事の最後にいくつか配信先のリンクを置いておきますので、もし興味をもっていただけたら聴いてみてください。

今後は、過去の曲の焼き直しではなく、まだリリースしていない曲をリリースしていきたいと考えています。
ちなみに、少し技術的な話にはなりますが、前回の記事「ストリーミング時代の適正なマスタリング時の音圧とは?」で書いた通り-11 LUFS 程度の音圧にし、ストリーミングサービスで聴くのに最適な状態しています。

楽曲について

ここからは、この楽曲たちについて当時を振り返ってみたいと思います。

Dekathlonからリリースされた当時のカバーデザイン

2004年9月27日にリリースされた Hologramized Memories EP は、最初の Hsart EP のリリースから約2年かかりました。たかだか EP ごときのボリュームで、リリースに2年は正直かかり過ぎだと今でも思います。でも、ナゼそんなに時間がかかったのか?
それは「 Hsart EP を超える作品を世に出す」という自分で設けたハードルを超えることがなかなかできなかったから。
このリリースを通じて、ただひたすら音楽を作り続けて生きていくのは、自分には難しいと己を知りました。また、それと同時にたとえどんなに時間がかかったとしても、アルバムを作りたいと思い始めた頃でもありました。この思いが、後の 1st Album STRATUM へとつながっていきます。

使用機材については、詳しくは割愛しますが、Hsart EP の時と大きくは変わっていません。詳しく知りたい方は、以前書いた「アナログをデジタル配信で再リリースした話」を見てください。

Hologramized Memories が影響を受けた映画

A1の Hologramized Memories は、1995年に公開された大友克洋制作総指揮の映画「MEMORIES」の第一話「彼女の想いで ( Magnetic Rose )」(森本晃司監督)にインスパイアされて作られています。この遭難船に眠る女優エヴァの魅せる幻覚が、ホログラフィーと区別がつかなくなる感覚に陥るところが好きです。
また、インターネット上のどこかで Sem – Area 5Jean Michel Jarre – Oxygene Part 2 に似ているなどと書き込まれているのを見たことがありますが、どちらもとても好きな曲なのでその影響は否定できません笑
最初のブレイクから入っているコーラス(人声)はメロトロンのものです。

B1の Get Lost は、その名の通り「失せろ!」です。ぼくはSFと並んでホラー映画も好きなのですが、この曲は、何者かに追われていて、いつどこで襲われるか分からない恐怖を表現している曲です。ベースは基本 ReBirth RB-338(Propellerhead社が開発した Roland TB-303 クローンのソフト音源) で後半から入ってくる矩形波ベースは KORG EX-800 にコーラスエフェクトを足したものです。
RB-338 を使った理由は、確か当時 Poker Flat からリリースされていた ADJD – Believe がヒットしていて、にわかに Acid ブームが来るかも?と思っていたからです。今聴いてもカッコいいですね。
恐怖を煽るストリングスはサンプリングです。

B2 の Stray Sheep は「ストレイシープの大冒険」というフジテレビの深夜に放映されていた短いスポットCMからインスパイアされています。後に番組化したようですが、覚えているのは短い映像の方です。あとは自分のレパートリーの幅を増やしたくて哀愁漂う曲が作りたかったと言うのもあったと思います。ベースとメロディーは KORG MS-20、アルペジオは Roland JP-8080、ピコピコしている矩形波のパーカッションは KORG ER-1というリズムマシンです。

それから今回特別に、当時 Dekathlon からはリリースできなかった Hologramized Memories のプロトタイプバージョンを Unreleased Version と称して収録しています。Pad系の音は Roland JP-8080 で作られています。
また、骨が折れましたが全てのミックスを1からやり直しました。リリースされた方と聴き比べてみると面白いと思います。

こうして15年ぶりに振り返ってみると、ビジュアルから想起された作品が多い事に気づかされました。そして、これらの作品は今聴いても自分に恥じる事なく当時のまま輝いていました。郷愁にふける秋の夜長です。

配信先一覧

以下の他にもダウンロード購入や無料で聴ける場所はありますが、ひとまずメジャーなサービスのリンクだけ記載しておきます。


Who is writing?

エレクトロニックミュージックのウィークエンドミュージシャン。音楽レーベルCODONA主宰。W2X名義でChiptuneも作ります。 生業は300万会員の写真を扱うベンチャーの事業成長が任務。 興味は音楽、映像、バイオ、マーケ、ゲーム、金融。フォローお気軽に!ご依頼などはサイトの「相談する」からご連絡ください。
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