音楽機材の加水分解対策!無水エタノールで簡単にベタつきを解消する方法


お気に入りの音楽機材の表面が、いつの間にかベタベタになっていませんか? 実はこれ、加水分解と呼ばれる現象が原因かもしれません。加水分解とは、プラスチックやゴムなどの素材が水分と反応して劣化してしまう現象です。近年、製品の価格を抑えるためか加水分解してしまう素材を使うメーカーがあります。そうとも知らない私の様な人間は、安価に機材が手に入り喜ぶわけですが、知らぬ間に機材が加水分解を起こして残念な状態になってしまいます。今回はそんな加水分解を起こしてしまう原因と対策、そして私がAbleton Push(初代)を再生させた方法を記したいと思います。

加水分解の原因

そもそも加水分解はなぜ起こるのかというと、主に以下の原因で起こるそうです。

  • 湿度: 高湿度な環境で保管していると、機材内部に水分が溜まりやすくなり、加水分解が促進されます。
  • 温度: 高温多湿な環境は、加水分解の進行を早めます。特に、直射日光が当たる場所や、密閉された空間での保管は要注意です。
  • 紫外線: 紫外線も加水分解の原因となります。日光が当たる場所に放置しておくと、劣化が早まります。

これらの原因が複合的に作用することで、加水分解がより進行するそうです。

加水分解の対策

加水分解を完全に防ぐことはできませんが、以下の対策をすることで進行を遅らせることができるそうです。

  • 湿度管理: 湿度が低い場所での保管。除湿機などを活用するのも効果的らしい。
  • 温度管理: 直射日光や高温を避け、風通しの良い場所での保管。
  • 紫外線対策: 直射日光を避けて保管。紫外線カットカバーなどを利用するのも良いらしい。
  • クリーニング: 定期的にクリーニングを行い、汚れや汗などを拭き取り。

代表的な被害事例

加水分解は、様々な音楽機材で起こりえます。以下は、代表的な被害事例です。

  • シンセサイザー: ゴム製のノブやボタンがベタベタになり、ノブに触りたくなくなって演奏ができない。
  • エフェクター: プラ製の筐体がベタベタになり、塗装が剥がれ音まで悪くなった気がしてくる。
  • ギター: ピックガードや指板がベタベタになり、演奏しにくくなる気分が曇る。
  • ヘッドホン: イヤーパッドがベタベタになり、耳に当てたくなくなる。

これらの症状が現れたら、加水分解と疑っていいでしょう。

加水分解したAbleton Pushを再生

では早速、加水分解してしまった私のAbleton Pushを再生させたいと思います。
なお、機材の分解なども行いますので、以下は自己責任でお願いします。
いかなることが起きても、私には責任を負えません。

1. 被害状況の確認

加水分解が始まっているAbleton Push

写真だとあまりわかりにくいかもしれませんが、特に右上はかなりベトつきがあり加水分解が進行している模様。全体的にペタペタしています。
しばらく使わないと思ってきちんと箱にしまっていたのですがこの有様。

2. 下準備

まずは加水分解したベトつきを取るまえに、作業がしやすい様に機材を分解します。
写真を撮り忘れてしまいましたが、裏面のネジを外して裏蓋を取ると、基板が固定されているので、さらにネジを外す必要があります。
また、表のツマミがしっかり六角で止まっているので、全て外すのには思いのほか時間がかかります。

3. 無水エタノールで拭き取る

ふき取るのに適当なウエスなどを用意して、それに無水エタノールを染み込ませて拭いていきます。
見た目より加水分解が進んでいて、思っていた以上に拭き取れました。
もういいだろうと思うほど、十分に拭き取って乾燥させます。
※ディスプレイのパネルは拭かないように要注意。
※無水エタノールはラベル表示に従って保管して下さい。

3. 最初のヤスリがけ

拭き取った所に凹凸ができてしまったので、サンドペーパーで削って平らにしていきます。
私はタミヤのフィニッシングペーパー(細目セット)の400番でざっと整えました。
そのあとはヤスリがけのカスもあるので、中性洗剤でしっかり油も落としながら洗って陰干しをしました。

4. サーフェイサーで下地処理

ヤスリがけが終わったら、サーフェイサーを吹いていきます。
これは表面を滑らかにして発色を良くするためです。

サーフェイサーを吹いた後の図

5. ヤスリがけとサーフェイサーの繰り返し

サーフェイサー後のヤスリがけ

凹凸の状況にもよりますが、平滑になるまで何度か吹いてはヤスリをかけるを作業を繰り返すと仕上がりが良くなります。
ヤスリがけのあとは都度中性洗剤で洗って乾かしてからサーフェイサーを吹いています。
先ほどは400番のヤスリのみでしたが、ここでは600番と1,000番も使ってより滑らかにしていきます。
これはとても面倒な作業なので、時間と気力を見ながら取り組んでください。

6. 上塗り

最後は自分が好きな色を吹いて仕上げます。
私はマット(テカテカしない)なのが良かったのでマットブラックを吹きました。
均一になるように何度か吹いて完成。

7. 完成

すべて元に戻して完成

最後は外したネジを全て戻して完成!
一応通電もして問題ないことを確認。

まとめ

加水分解による音楽機材の劣化は避けられませんが、適切な対策とメンテナンスでその進行を遅らせることができます。
もしベタベタしてきた場合は、無水エタノールを使って自宅で機材を再生させてみてください。

Who is writing?

エレクトロニックミュージックのウィークエンドミュージシャン。音楽レーベルCODONA主宰。W2X名義でChiptuneも作ります。 生業は300万会員の写真を扱うベンチャーの事業成長が任務。 興味は音楽、映像、バイオ、マーケ、ゲーム、金融。フォローお気軽に!ご依頼などはサイトの「相談する」からご連絡ください。
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