この記事の位置付け
この記事は、ライブの内容を「何が起きたか/なぜ起きたか」という観点で記録し、再現性を検討するためのメモです。
感想文ではなく、ブッキングや企画設計の判断材料になることを意図しています。
イベント概要
2026年1月18日、幡ヶ谷FORESTLIMITで「新春ACID大会」が開催されました。
2025年12月にTRANSONIC RECORDSからリリースされたACIDコンピレーション(TRS-25037)参加者を中心とした企画です。
- 会場:FORESTLIMIT(東京都渋谷区幡ヶ谷 2-8-15 KODAビルB1F 102)
- LIVE:AcidGelge / ACID TAMIYA 346 / ACIDWHITEHOUSE / MUTRON
- DJ:CHERRYBOY / MONOLITH / KAZUNAO NAGATA
会場には大型スピーカーが据えられ、ボディソニックを感じる低域が、フロアでしっかり鳴っていました。


仮説:90’sレイブは“引用”ではなく、現行ジャンルとの融合素材として使った時に強度が出る
近年、レイブ・エッセンスを含んだ曲は増えています。
ただ、私自身の関心は「90’sレイブをそのまま持ってくること」ではありません。
私が試したいのは、現在のテクノやUKベース等の語彙と、90’sレイブの衝動性を“混ぜ合わせ”、別物として成立させることです。
懐古の再現ではなく、融合によって新しい反応の出方を作れるかを検証しています。
また、近年の「レイブ要素を含む」潮流に比べ、私の楽曲はレイブ要素の濃度を意図的に高めています。
この濃度が現場で拒否されるのか、それとも身体反応として通るのかを確かめたかったのです。
当日の条件(コンディション)
自分の出演は6番目、20:00から45分枠。
前の出演者から盛り上がっており、私の演奏開始時点でフロアはすでに出来上がっており、非常に良い状態でした。
来場者はイベントのコンセプトを理解した、音楽的な知識レベルの高い層が中心。
コンピ参加をきっかけに、私の他の曲を聴いていた方も一定数いたようです。
この条件は、今回の反応を理解するうえで重要な前提です。
(=オープン直後の冷えたフロアで同じ結果が出るとは限らない)
ライブ設計:機材の“対極”と、内容の“融合”
出演者の多くがTB-303/TR-909など実機中心の中、私はMacBook Pro/Ableton Push/小型MIDIコントローラーという最小構成で臨みました。
意図は機材表現ではなく、構成と反応の検証です。
加えて、臨機応変に展開を組み替えられる柔軟性を確保する狙いもありました。
演奏は全12曲。
- リリース済み:5曲
- 未発表/当日のために作ったもの:7曲
重要なのは、リリース済み曲も含め、全曲をライブ用に再構築している点です。
今回のセットは「音源の再生」ではなく、現場での反応を前提に、曲の並びや展開、構成まで含めて組み直した“ライブ版”です。
その場の反応を見ながら展開を組み替える点では、DJの現場運用に近い設計です。

セットリスト
- Futrue Sushi(ブレイクビーツアレンジ)
- Get Lost
- Cut the Midrange Drop the Acieeed Bass
- 未発表
- Rage Against The Dominator
- RAVENATION
- 未発表
- 未発表(Beastie Boys “Intergalactic” ネタ)
- 未発表
- 未発表(曲名:Doom)
- 未発表(Hypnotist “House Is Mine” ネタ)
※このパートの反応を15秒動画としてYouTube Shortに切り出す予定 - 未発表(Manix “Feel Real Good” ネタ)
観測結果:未発表曲でも反応が落ちなかったのが一番の収穫
最初の曲から合いの手や歓声があり、未発表曲を挟んでも熱量が落ちずに維持できました。
既存曲が盛り上がること自体は想定内ですが、予想を上回ったのは次の点です。
- 未発表曲でも反応が落ちず、複数箇所で盛り上がりが成立したこと
一方で、Beastie Boys “Intergalactic” ネタは、体感としては期待ほど盛り上がりませんでした。
素材の強さだけではピークが作れない(=置き方/展開設計が重要)という示唆として捉えています。
再現性の整理:どういう条件で機能しやすいか
今回の結果を一般化はできません。
ただし、少なくとも以下の条件が揃うと、私のセットは機能しやすいと考えています。
- “レイブ”を文脈として許容する土壌がある(“踊る前提”の文脈で、強いフックや引用が許容される)
- 低域が成立する音響(身体反応が出る条件)
- フロアが温まっている、または温める設計が可能
- 懐古の再現ではなく、現行ジャンルとの“融合”を面白がる層がいる
ここでのポイントは、90’sレイブの再現ではありません。
現行のテクノやUKベースなどと融合した結果として、別の反応を狙っている点です。
次に向けた論点(再現性)
次に検証したい点を3つに絞ります。
- フロア設計型のライブアクトとしての再現性
既存曲だけでなく未発表曲でも反応が落ちなかった点は、偶然よりも「設計可能性」を示す材料になり得ます。 - “融合”の精度を上げる(混ぜ方のアップデート)
今回の示唆(Intergalacticネタの反応差など)を踏まえ、素材選択よりも、展開/置き方/ブレイクの精度を上げます。 - 現場反応を指標にしたリリース選定
当日はエア録音を行いました。歓声やピークなどの反応を判断材料に、未発表曲から次のリリース候補を絞り込みます。
次のアクション(運用)
- エア録音を聴き返し、盛り上がりが強かった箇所を特定
- 未発表曲のうち、現場で機能したものを次のリリース候補へ
- 「ライブ専用で残すべき曲」と「リリース用に再設計する曲」を切り分ける
補足
今回のセットは、配信向けに整えた「完成版の音源」をそのまま再生する発想ではなく、
その場のフロアの温度や音響に合わせて、曲の並び・展開・ブレイクを組み替えることを前提に作っています。
同じ曲でも「音源として聴く」ときと「現場で体験する」ときで、ピークの作り方や効かせ方が変わります。
次回以降は、今回得られた示唆(特に“素材の強さ”より“置き方/展開設計”が効く点)を踏まえて、融合とピークの精度を上げていきます。
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