ブロックチェーンがもたらす音楽の未来


音楽を聞くことや音源を購入することで、公正な利益の分配や正しい権利者の記録ができる未来がやってくるとしたら、一体どんな変化が起こるでしょうか。

昨今、ビットコインに代表される暗号通貨の中核技術である分散型台帳技術、いわゆるブロックチェーンと呼ばれる技術を他の分野にも応用する事例が出はじめてきました。そして、あらゆる分野に波及をはじめていますが、音楽ももれなくその分野のひとつです。

WIREDで非常に分かりやすい記事になっていたDot Blockchain MusicICO(暗号通貨の発行によるクラウドファンディング)で資金調達を試みたOpusや、Mediachainを買収したSpotifyなどを筆頭に、非常に興味深いサービスやパラダイムシフトへ備えるサービスがいくつか存在しています。海外のメディアなどでは、これらは音楽家がちゃんとお金を稼げるようになる新たなサービスなどと囃し立てていますが、音楽家が本当に稼げるようになれるのか懐疑的です。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンという言葉をまだ聞き慣れない人もいると思うので、下記にWikiを引用して簡単に説明します。

ブロックチェーン(英語: Blockchain)とは、分散型台帳技術、または、分散型ネットワークである。ブロックチェインとも。ビットコインの中核技術(Satoshi Nakamotoが開発)を原型とするデータベースである。ブロックと呼ばれる順序付けられたレコードの連続的に増加するリストを持つ。各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンクが含まれている。理論上、一度記録すると、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。ブロックチェーンデータベースは、Peer to Peerネットワークと分散型タイムスタンプサーバーの使用により、自律的に管理される。

これは仮想の電子通貨を個人間で安全なやりとりをするために生み出された技術で、ナカモト・サトシという謎の人物の論文から始まったとされています。このナカモト・サトシという人物が何者なのか未だにわかっていないにも関わらず、この技術が昨今、急速に拡大・発展しているのは非常に面白い状況と言えます。

中央集権から分散型ネットワークへ

blockchain

現在の印税の分配や著作権の管理は中央集権的に特定の団体や企業のサービスのシステムで行っています。これがブロックチェーンを用いることで、管理の方法が分散型ネットワークへと姿を変え、今まで中央集権的に行うことでリソースの制限から適正に処理をできなかったことが、分散型ネットワークではこれを可能にします。

適正に処理されるようになると、演奏、再生や購入数などから正しく印税が導き出され、より公正に分配されようになり、これまで印税を受け取れていなかった人たちまで正しく行き渡る時代がやってきます。受け取れてなかった人たちが受け取る印税は、恐らくこれまで実際の実績よりも多くもらっていた人たちの取り分や、中央集権的に管理をしていた人たちの人件費などからまかなわれることになると思います。

素晴らしい音楽が作れるだけでは大成しない

印税の公正な分配が行われても、音楽家の裾野に位置する多くの小さな音楽家たちは、幾ばくかの収入を得るだけで食べて行くことができない可能性が高いと思います。管理コストが下がり個人での管理が容易になれば、音楽出版社に依存せずに活躍する音楽家が増えるかもしれません。そして、もしそういった音楽家が増えれば、音楽出版社の存在意義は薄れ、制作費や広告費の予算は縮小していくでしょう。

既に音楽以外にも優良な文章、映像やゲームなどのコンテンツが溢れかえり、個人の時間の争奪戦ないま、音楽家たちは今以上に既存のファンやリスナーとの接し方や、新規のファンやリスナーを獲得するための知識を身に付けて戦わなければならない時代がやってくるかもしれません。